史実でいう第一次世界大戦が終わった地球、完全熱量変換機構『コイル』によりエネルギー諸問題が解決した世界
人々はコイルのもたらす恩恵によってその人生を謳歌していた
しかし、失われることなく膨れ続けた風船は、やがて破裂する
世界規模で発生した大災害によって人類は混沌へと突き落とされた
空は割れ、大地は荒れ、海は狂った
何万、何億という命が割れた風船とともに消えていった
………嘆くことはない
消えた命があるように残った命もまた、ある
荒れ果てる世界の真中で、命を紡いだ人たちがいた
輻輳構造海底都市NNM-400、コード『アトランティス』
辛うじて大災害の中生き残った彼らは、しかし未だ荒れ狂う海の中、懸命に生きている
それが、100年前
誰が想像しただろう。大災害が100年止まぬと
誰が思い描いたろう、誰も救助に来ぬと
誰が考えたろう、この街を支配するのが
マフィアたちになるだなんて
陽の光を誰も知らぬこの海の底で、君はなにを思い、何をなすのか
あぁ、見上げてみろ
海と都市とを分けるガラスの向こうに見える、あの姿こそ、まさに我ら
『マリンスノー』